そろばんって何歳から習い始めるのが正解なのか?
これについては、もうタイトルで結論を言ってしまっています。
ちなみに
「そろばんを習っても意味がない」
「そろばんを習ってもいいことは一つもなかった」
こんな意見の背後にひそむ「筆算トラップ」について、記事を書かせていただきました。
もくじ
そろばん学習を始めるのは、何歳でもかまいません
そろばん学習は、
① 相当量の練習時間の確保
②「筆算トラップ」にかからない
この2点に気をつけていただければ、圧倒的なスピードと正確性で計算力を手に入れられます。
それだけでなく、頭の回転が速くなる、数感覚が鋭くなる、指先を使い続けることで脳の発達に好影響を与える、など計算力以外の効能についても各所で指摘されています。
さて、ではそろばん学習を始める適齢期は何歳でしょうか。
結論としては
「何歳でもよい」
となります。
「なんだよ、何歳でもいいのかよ。じゃあこの話は終わりじゃん」
と思った方もいらっしゃるでしょう。
たしかに「何歳でもよい」のですが、始める年齢によって注意点が変わります。
冒頭にご紹介した記事と深くかかわってきますので、この記事では各注意点についてご説明いたします。
小学生1~2年で始めた場合は「筆算トラップ」に要注意
小学生で始めた場合は、何年生であっても「筆算トラップ」に注意してください。
せっかくそろばんを習っても「筆算トラップ」にかかってしまうと元も子もなくなってしまいます。
すでに、お子様をそろばん教室に通わせている保護者の方で、我が子の進級が心配な場合は、習っている教室の先生に一言お伝えしてみましょう。
「うちの子は、『筆算式』ではなく、ちゃんと『珠算式』で計算できてますでしょうか?」
のようにです。
「筆算トラップ」という言葉は、私の造語ですのでくれぐれも使わないようにしてください。
しかし、「筆算式」「珠算式」という言葉ならば、たいていのそろばんの先生には伝わります。
小学校3年生以上で始める場合
小学校3年生以上で始める場合も筆算トラップに注意は必要ですが、それ以外にも、「目標設定を明確にすること」が他の年齢で始めるよりも大切になります。
まずは、本人が中学受験をする・しないで場合が分かれます。
中学受験をするので、4年生・5年生あたりでそろばんどころではなくなる
こういう状況が予想されるのであれば、
「2年で暗算3級を目指す」
「5年生になるまでは必ず週3回練習に通う」
などのように決めて取り組むのがよいでしょう。
あとは筆算トラップにおちいらないよう、頑張ってください。
おすすめしない通い方
小学生からそろばん学習を始めるならば、何年生であろうが週2回以上は教室に通うことをおすすめします。
逆に、週1回で通うのはおすすめいたしません。
これは学年が上がれば上がるほどあてはまります。
週1回でも、家で練習する習慣があったり、教室から1週間分の課題が出て、それを家でこなすことができるならいいのですが、
家で練習せず、教室に週1回通うだけで進級できるほどそろばんは甘くありません。
これはあくまで一例ですが、私の教室で暗算1級に到達した生徒を何人かピックアップして、
習い始めから暗算1級合格までに、
「教室で練習していた時間の合計」
を概算してみました。
すると、そのときの計算では、
習い始めから暗算1級合格までに約800時間かかっていました。
1回の練習を90分とした場合、533回の練習で800時間を超えます。
533回の練習を積むのにかかる期間は以下のようになります
週1回ならば 9.7年
週2回ならば 5.7年
週3回ならば 3.7年
さしあたりこの数字を信じるならば、
小学1年生から始めたとしても週1回教室に通うだけでは、
暗算1級合格までに約10年かかってしまうことになります。高校生になってしまいます。
それよりは、週2~3回通って、小学生のうちに暗算1級合格を目指すことをおすすめします。
幼児から習い始める場合
幼児からそろばん学習を始めるのはとても素晴らしいことです。
そろばんは指先を使うので、手先の巧緻性が向上します。
また、幼児にとって大切な、手と目の同期の練習を積むことができます。
こうした、「幼児教育としてのそろばん学習」については、別記事で詳しくご説明いたします。
この記事では、習い始めについて述べてゆきます。
幼児の習い始めとして適切な時期は、私は普段よりこのように申し上げております。
「本人が数に興味を持ち始めたとき」
募集している教室によっては、「3歳から」や「4歳から」という条件があるでしょう。
私の教室では3歳から入会可能です。
幼児に対応するそろばん教室は年々増えてますので、ご検討中の方はぜひ近所のそろばん教室を探してみてください。
幼児から始める最大のメリット
そろばん学習を幼児から始めるのはメリットだらけです。
幼児を受け入れているそろばん教室は、たいてい「そろばんだけ」ではなく、
ひらがな・カタカナなどの文字、
積み木やパズルなどの図形
という学習も用意してくれています。
また、幼児から始めることで、これは学習の進度にもよりますが、
「小学生に上がる前にかけ算九九を習う」
「小学生に上がる前にかけ算・わり算の計算を習う」
などの圧倒的メリットがあります。
そして、それらの圧倒的メリットをさらに上回るメリットがあります。
それは、そろばん学習における最大のワナである「筆算トラップ」を自然に避けられることです。
当たり前ですが、幼児は学校に行きませんので、計算を習っていません。
生まれて初めて出会う計算方法が「珠算式」の計算になります。
幼児は、計算方法として「珠算式」をまず知り、その後小学校へ上がってから「筆算式」に出会うことになります。
そのときに、ある程度進級していれば、当人にとっては「珠算式」の計算が当たり前であり、「筆算トラップ」にかかる心配はなくなります。
このことによって、スムーズな進級が期待できるようになります。
そろばんの習い始めは、さまざまでよいのですが、長年そろばんを指導している私としては、
幼児のうちから習い始めることを強くおすすめいたします。
まとめ
そろばん学習を始めるのに最適な時期は、人によって違います。
まず、中学受験をする・しないによって大きく変わります。
小学生で始める場合は、筆算トラップや目標設定の明確化に注意しましょう。
幼児の場合は、「本人が数に興味を持ったタイミング」をねらいましょう。
ところで、
幼児の場合、他の習い事とそろばんではどのような違いが生まれるのか、
特にそろばんと公文ではどちらがよいのか
ネットで検索をかけてみると、さまざまな意見が飛び交っています。
以下の記事で、私見を述べておりますので、もしよければお目通しください。