要約練習をすると、「書く力」だけでなく、読解力をはじめとするさまざまな国語の力が向上します。
はじめはうまくいかなくてもいいですから、とにかく挑戦しましょう。
ではお手元に『10分で読める名作 4年生』と原稿用紙または作文ノートを用意してください。
『地もぐり豆』の要約
この物語は、2つの章から成り立っています。
「和夫の貯金」「働く友の手を思う」
の2つです。
「和夫の貯金」の最後の行にはこのように書かれています。
「これは三年前のことで、和夫はそのとき、小学三年生でした。」
つまり、「和夫の貯金」は三年前の話で、「働く友の手を思う」はその三年後の話であることが分かります。それぞれの章を一行でまとめてみましょう。
「和夫の貯金」
和夫は、貯金箱のお金をだまって使った。
「働く友の手を思う」
和夫は、中川君から落花生と手紙を受け取った。
それぞれの一行要約をそのままつなげるとこうなります。
和夫は、貯金箱のお金をだまって使っていた。和夫は、中川君から落花生と手紙を受け取った。
これでは何のことかさっぱり分かりませんので、前半と後半の2つの出来事がつながるように、言葉を足しながら要約を完成させてください。
いきなり要約が難しいという人は、『要約ワークシート』を使ってみてください。
『地もぐり豆』要約ワークシート
『地もぐり豆』要約ワークシートの記入例
それほどややこしい話ではありませんので、目標は300字以内(400字詰原稿用紙で15行)を目指して書いてみましょう。
お手本
要約が書けたら、次にお手本を写してみてください。
このお手本は201字です。
『地もぐり豆』要約のお手本
なぜ仕上げにお手本を写すのか
「お手本を写す」という活動によって、文章力と国語力が高まります。
かの文豪志賀直哉が、父親の書斎の本を手書きで写したというエピソードはとても有名です。
志賀直哉を目指す必要はありませんが、皆さんもお「手本を写す」という活動を通じて、力をつけてください。
また、せっかく自分で要約を書いたのですから、自分の書いた要約と、お手本を比べることでいろいろな学びが生まれます。
実際に書き写すことで、読むだけでは感じることができない違いを体感し、次はもっと上手に要約を書こうという気持ちにつながります。