鵲の 渡せる橋に 置く霜の 白きを見れば 夜ぞ更けにける 

読み方「かささぎの わたせるはしに おくしもの しろきをみれば よぞふけにける」

二通りの意味

この歌には、二通りの意味が成り立ちます。どちらの意味でとらえるかは、読む人の好みでいいと思います。

意味①  天の川に霜がかかった白いようすを見ると、夜がふけたのだなあと思うことだ。

意味②  宮中の階段にかかった白い霜を見ると、夜がふけたのだなあと思うことだ。

ポイントは、「かささぎの渡せる橋」の意味をどうとらえるかによります。これが「天の川」を指しているのか、「宮中の階段」を指しているのか、この歌からはどちらかに決めることができません。

かささぎは天の川の鳥と考える場合

 天の川伝説では、織姫さまと彦星さまが、年に1回だけ出会うことができます。そのとき、天の川に橋を渡す係をするのが「かささぎ」という鳥です。

「かささぎの渡せる橋」

が、その1年に1回のチャンスで天の川に「かささぎ」が羽をならべて橋をつくる様子を歌ったものであるとしたら、「意味①」になります。

「かささぎの渡せる橋」は宮中に上るための橋(階段)のことと考える場合

 宮中(天皇のいる宮殿)「天上界」になぞらえて、そこにいく階段のことを「かささぎの渡せる橋」と言っていたことがあります。

 宮中の見張りをしている人が、夜になって階段に積もる霜を見て

「かささぎの渡せる橋に置く霜」

と表現したと考えることもできます。この場合は「意味②」になります。

大伴家持(おおとものやかもち)

 奈良時代の歌人です。この人は『万葉集(まんようしゅう)』を編集した人でもあります。

 中納言(ちゅうなごん)という高い位をもらっていたので「中納言家持(ちゅうなごんやかもち)」と呼ばれることもあります。

〔万葉集〕

 日本最古の和歌集。783年に成立。大伴家持(おおとものやかもち)が編集したとされる。天皇から庶民まで、さまざまな人の和歌が収められており、その数は全20巻、4500首にのぼる。和歌文化の原点。

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