和歌と読み方
百敷や 古き軒端の しのぶにも
なほ余りある 昔なりけり
なほ余りある 昔なりけり
ももしきや ふるきのきばの しのぶにも なおあまりある むかしなりけり
歌の意味
宮中の古い軒端に生えている忍ぶ草を見ると、しのびつくせないほど慕わしく思われる古きよき時代だなあ。
「しのぶ」は、誰かを恋しく思う意味で使われることが多いのですが、
この歌のように「昔をなつかしむ」意味で使われることもあります。
「百敷(ももしき)」は宮中の意味です。
昔は栄華を誇ったこの天皇の住まいも、軒端(のきば・屋根のはしっこ)から草が生えてくるような荒れようだ。
と政治の中心から追われた状況を嘆く歌です。
順徳院
順徳院(じゅんとくいん・第84代)は、後鳥羽天皇(ごとばてんのう・第83代)の子です。
この時代は、すでに源頼朝(みなもとのよりとも)による鎌倉幕府(かまくらばくふ)が成立していました。
武士が政治権力を握る時代がやってきて、貴族は権力の外においやられました。
貴族中心の政治を取り戻そうとして、順徳天皇として即位した後、父親の後鳥羽上皇と一緒に、戦いを起こします。それが「承久の乱(じょうきゅうのらん)」です。
戦いは一方的でした。
後鳥羽上皇をかついだ貴族軍は、ボコボコにされ、
順徳院は佐渡(さど)へ、後鳥羽上皇は隠岐(おき)へ島流しとなりました。
そもそも、鎌倉幕府の将軍は、天皇が任命します。
自分が任命した将軍にけんかを売って、負けてしまうというちょっと変な戦いです。
興味のある人はいろいろ調べてみてください。