奥山に 紅葉踏み分け 鳴く鹿の 

声聞く時ぞ 秋は悲しき

おくやまに もみじふみわけ なくしかの

こえきくときぞ あきはかなしき

人気のない山の奥深くに紅葉を踏み分けて行き、鳴いている鹿の声を聞くと、秋の悲しさが感じられることだ。

謎の人物、猿丸太夫

 猿丸大夫は「さるまるたいふ」「さるまるだゆう」のように読みます。この人も三十六歌仙の一人ですが、

 猿丸太夫が一体どこの誰なのかはまるで分っていません。

 架空の人物なのか、実在した人物なのか、確実な証拠は残ってないのです。

 それでも、三十六歌仙の一人に数えられ、そのおかげでこの百人一首の中にも入ってきています。

 あまりに謎だらけなので、あまり深入りしないようにしておきます。

秋と鹿の鳴き声の組み合わせ

 鹿の鳴き声は、昔から歌に詠まれる題材でした。

 万葉集にも、鹿の鳴き声を題材にした歌が60首以上収められています。

〔万葉集〕

 日本最古の和歌集。783年に成立大伴家持(おおとものやかもち)が編集したとされる。天皇から庶民まで、さまざまな人の和歌が収められており、その数は全20巻、4500首にのぼる。和歌文化の原点。

 特に平安時代になると、「鹿の鳴き声=悲しい雰囲気」というイメージが定着したようです。

 秋は、もともとさびしさを感じる季節です。したがって今回の歌

奥山に 紅葉踏み分け 鳴く鹿の 

声聞く時ぞ 秋は悲しき

おくやまに もみじふみわけ なくしかの

こえきくときぞ あきはかなしき

は、「鹿の鳴く声(悲しい雰囲気)」+「秋(悲しい雰囲気)」で、

悲しい悲しい

歌なのです。

別の解釈

上にかかげたこの歌の解釈は

人気のない山の奥深くに紅葉を踏み分けて行き、鳴いている鹿の声を聞くと、秋の悲しさが感じられることだ。

です。この解釈では、山奥に入っていくのが「人」になっています。

しかし、この歌では、山奥に入っていくのが「鹿」でも成立します。

山の奥深くに紅葉を踏み分けて行く鹿の鳴き声を聞くと、秋の悲しさがいっそう感じられることだ。

こちらの解釈では、鹿の鳴き声がかなり遠くから聞こえてくる感じがしますね。

このように、和歌というのは、解釈が2通り以上成り立つ場合もあります。どんな意味で理解するかは、お好みでいいと思います。

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