和歌と読み方
巡り逢ひて 見しやそれとも わかぬ間に
雲がくれにし 夜半の月かな
雲がくれにし 夜半の月かな
めぐりあいて みしやそれとも わかぬまに くもがくれにし よわのつきかな
歌の意味
久しぶりに再会して、あなたかどうかも見分けがつかない間に、まるで雲にかくれる夜の月のようにあっという間に帰ってしまわれた。
「めぐり」と「月」は縁語(えんご)といって、関係が深く一緒によく使われる言葉です。
お友達もいそがしかったのでしょう。昔話や、今までどうしていたのか互いに語り合うこともできず、帰ってしまったことを残念に思う気持ちを詠んでいます。
なぜ友達だと分かるかというと、この歌の詞書(ことばがきに)「幼なじみと久しぶりに会ったけど、月と争うようにすぐに帰ってしまった」とあるからです。
紫式部
日本文学の絶対女王
言わずと知れた『源氏物語』の作者です。
紫式部は、藤原道長(ふじわらのみちなが)の娘である中宮彰子(ちゅうぐうしょうし)の家庭教師をしながらこの物語を書きました。
現在では世界で20か国語以上に翻訳されています。
『源氏物語』が最初に世に出たのは1008年と言われています。
これの何がすごいのでしょう。
こんな昔に女流作家が活躍したのは日本だけ
この時代に、女流作家が文学に名を残しているのは日本だけです。
同じ時代の『枕草子』の清少納言や『和泉式部日記』の和泉式部なども有名です。
ヨーロッパで女流作家が社会的に認知されたのが1600年代以降であることを考えれば、
日本文学がいかに特殊であるかが分かります。
『源氏物語』の現代語訳や漫画はたくさんありますが、
その中でも、手軽に分かりやすく『源氏物語』の世界を知りたいという人向けにおすすめの本を紹介します。