和歌と読み方
天つ風 雲の通い路 吹きとぢよ
をとめの姿 しばしとどめん

あまつかぜ くものかよいじ ふきとじよ おとめのすがた しばしとどめん

歌の意味

天を吹く風よ、雲の中にある天への帰り道を閉じてくれないか。乙女たちの舞う姿を、しばらく地上にとどめおきたいから。

「天女たちが美しく舞う姿をもっと見ていたい」

という意味です。

この歌は、宮中の儀式(きゅうちゅうのぎしき)を見て詠まれたものです。

だから、実際には天女ではなく、若い娘たちが舞を踊っています。

その舞の美しさを見た作者が、

「まるで天女のような美しさだ、いつまでも見ていたい」

という気持ちを詠んでいます。

作者の僧正遍照(そうじょうへんじょう)とはどんな人でしょうか。

「僧正(そうじょう)」とはお坊さんで一番高い身分です。

お坊さんのくせに、若い娘の舞う姿を見てうっとりしているなんてけしからんですね。

実は、この歌は僧正遍照が、お坊さんになる前に詠まれた歌だったのです。

僧正遍照

 僧正遍照は、出家する前(お坊さんになる前)は良岑宗貞(よしみねのむねさだ)という名前でした。

 相当なイケメンで、女性にも人気がありました。

 そんな人が詠んだと考えたら、若い娘の踊りを

「いいね、エンジェルだね、いつまでも見ていたいよ!」

という歌を詠んでも不思議はないと思います。

 桓武天皇(かんむてんのう)の孫という高貴な生まれでもありましたが、

自分の見方をしてくれていた天皇が崩御(お亡くなりになること)したため、

出家してお寺に入ります。

お寺に入ってからは順調に出世をして70歳のときに僧正(一番偉いお坊さん)になります。

 三十六歌仙と六歌仙の両方に名前をつらねる、和歌の名人です。

 

 

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