エリート官僚だった渋沢さんは、実業の世界で身を立てることを決意し、本当に官僚をやめてしまいます。

 

渋沢栄一

夢がかなったぞ!日本は商売がまだまだだからなぁ~。これから日本のために頑張るぞ!

〈明治6(1873)年―ある日のエピソード〉

そんなある日、玉乃(たまの)さんという、渋沢さんの親友が、渋沢さんの家にやってきました。

玉乃さんは、官僚をやめて商売の道に行こうとする渋沢さんを、なんとかして止めようとします。

その頃、商売すること=お金もうけをすることは、いやしいことだと多くの人が考えていました。

渋沢栄一
これからは、いよいよわずかな利益をあげながら、社会で生きていかなければならない。
そこでは志(こころざし)をいかに持つべきなのだろう・・・

渋沢栄一
『論語』いいよね。『論語』を使いたいなあ。『論語』で商売っていける気がする。

玉乃さん
君ほど優秀な者が、いやしいお金に目がくらんで、官僚をやめてしまって商人になるとは……。商人なんかにはならず、官僚の立場で社会につくすべきだぞ。

渋沢栄一
玉乃さん、ご忠告ありがとう……
けれど、私は『論語』で一生を貫いてみせるよ。
それに、お金を取り扱うことが、なぜいやしいのだ。
君のようにお金をいやしんでいては、国家はかならず行きづまるよ。
民間より役人の方がえらいとか、身分が高いといったことは、本当に大切なことではない。
人間にとって、大切で価値のある仕事はあらゆるところにある。
役人だけがえらいわけではない。

玉乃さん
何を言ってもむだなようだね”(-“”-)”……
玉乃さんは、あきれて帰ってしまいました。
そして、親友に大見得を切った渋沢さんは、引くに引けなくなってしまいました。
絶対に成功して、自分の考えが正しいことを証明しなくてはいけません。

渋沢栄一
あっちゃー、言っちゃったよー
『論語』、本気で読むしかないな。
まぁいいか。子らと一緒に勉強するのもなかなか面白いかも
こうして、渋沢さんは、自分の子と一緒に、一流の先生方について『論語』を勉強し直しました。
大人になっても、勉強し直すなんて、えらいですね。

 

小学生でも分かる『論語と算盤(ろんごとそろばん)』次のお話

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