和歌と読み方
思ひわび さても命は あるものを
憂きに堪へぬは 涙なりけり
おもいわび さてもいのちは あるものを うきにたえぬは なみだなりけり

歌の意味

つれないあの人のことを思いつづけ、もはや絶えてしまうかと思った命はまだあるのだが、このつらさに耐えきれず流れてくるのは涙だったよ。

思ひわび

つれない相手に思い悩み、気落ちする。「わぶ」には、「気落ちする」「気力を失う」の意味がある。

さても

それにしても。

 歌の心

相手を想い続けているにもかかわらず、つれない態度しかとってくれないと、だんだん気持ちが滅入ってしまうものです。

それで、もう生きているのもつらい状態になったのに、まだ命はある。

ところが、涙はこらえることができない。

このような、命と涙を対比させた内容になっています。

「思ひわび」の中身は恋愛のことと考えるのが妥当ですが、道因法師がこの歌を詠んだときは、ずいぶん年を取っているので思い通りにいかない人生をなげく気持ちが入っているのかもしれません。

 

道因法師

出家前の名前は藤原敦頼(ふじわらのあつより)と言いました。

とても歌に熱心で、自らも歌会を開き、歌の道に精進していました。

何事も熱心にしていると認めてくれる人がいるものです。

藤原俊成(ふじわらのとしなり)が、この人の熱心さを認め、『千載和歌集』(1188年成立)18首入選させることにしました。

すると道因法師は、感激して藤原俊成の夢枕に立ち、自分の歌を選んでくれたお礼を言いました(道因法師は1182年没)

そこで、藤原俊成はさらに2首を追加して合計20首道因法師の和歌を入選させることにしました。

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